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よもやまレコード

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東独エテルナの名盤~Nr.21 マズアのメンデルスゾーン シンフォニアシリーズ

メンデルスゾーン シンフォニア 1番ー12番
クルト・マズア指揮
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

全て71年の録音。全て黒ラベルと青ラベルがあると思われる。

「1〜6番」、「7&8番」、 「9&12番」、「10&11番」の4枚。
メンデルスゾーンの若かりし頃の生命力溢れる作曲で、光に溢れるような音楽に思わず心が喜んでしまうような、美しい音楽ですね。

私はマズアのベートーヴェン交響曲は評価していなくて、正直聞いていて全然面白くない。敬愛するコンヴィチュニーと比べると、密度・練度・純度、気迫、全てにおいてコレじゃないんだよな、という気持ちにさせられてしまう…あと、何故だか盤質が悪いものばかりが売られているのも個人的にはなんだかなぁ・・。旧東ドイツの民がマズアの録音を擦り切れるほど聞き込んだから?
そんなマズアの演奏なのであまり期待はしてなかったのですが、しかし、いやいや!これはめちゃくちゃ良いじゃないですか!

まだ鈍い音のゲヴァントハウス的な響きは痺れるように心地よくて、マズアも生き生きと見事に鳴らしている印象があります。さすがはメンデルスゾーンの魂が受け継がれているのか、まるでそれこそ魂が乗り移った様に感情豊かに歌い上げる。

ホルスト・クンツェ氏による録音で、音質もとても良いです。
マズアの代表的な録音とも言えるのではないでしょうか。オススメのシリーズです。

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東独エテルナの名盤~Nr.20 ボッセのブランデンブルク協奏曲

東独エテルナ/ボッセ/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス・バッハ管弦楽団/バッハ/ブランデンブルク協奏曲
バッハ / ブランデンブルク協奏曲


ライプツィヒ・ゲヴァントハウス・バッハ管弦楽団
ヘルベルト・ボッセ指揮

【 東独ETERNA 827 846-847 / STEREO / 見開き二枚組 】

1981年10月19-22日、1983年5月10-13日ライプツィヒ、パウル・ゲルハルト教会にて録音。

正統ドイツ勢によるブランデンブルク協奏曲であり、この曲を語る上で外すことのできない演奏であるのは疑いがないでしょう。

ボッセを始めとする「音職人」達の下、音は丁寧に一つ一つ紡がれていて、その一つ一つの音の完成度が凄まじい。純ドイツのメンバーによるが重厚ではなく、本当に軽快で心が踊る様。

権威的な演奏を意図しない、むしろ「誇り高き市民達の音楽」を示しているのではないかと思わせる素晴らしい演奏。録音もとても良い時代のもので、それぞれの音が素晴らしく、音自体のの美しさがシンプルに感動を呼び起こす傑作だと思います。


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東独エテルナの名盤~Nr.19 ケーゲルのベートーヴェン全集

ヘルベルト・ケーゲル/ベートーヴェン交響曲/全集/旧東ドイツエテルナ/LP


82-83年にかけてドレスデン、ルカ教会にて録音された、ヘルベルト・ケーゲル/ドレスデンフィルハーモニー管弦楽団のベートーヴェン・交響曲全集。

これ、何度聞いてもハッとさせられるんですよね。
ラジオ聴いてたら「この人だれ!?」って思うみたいに、ケーゲルのレコードを回すとだいたいそんな気にさせられる。

ケーゲルの音楽の魅力とはなんなんだろう?
私はクラシック音楽の理論や文法に詳しいわけではないので、ポップスやジャズを楽しむのと同様にクラシックを一つの音楽として楽しんでいます。世界中の色々な音楽を聞いてますが、そんな私が魅力に感じている部分とは一体なんだろう。

先ずは、あまりに美しい音色。でしょうか。

物質的というよりは、霊的にすら感じられる。
水に濡れた石畳のような静寂感の中に、霊的な孤独感がどこかに感じられるような。
丁寧で優しいケーゲルの世界は美しくも、儚いんですよね。その音のピュアさは、聞くものの心までも浄化するような澄み渡ったような美しさがあるように思います。

あとは、やはりその世界観でしょうか。

ケーゲルがどんな人物像だったのか、過去の話を聞きかじりましたが、実社会において起こったことと、彼の心の中にあった音楽とは、また別の世界での出来事と思います。
彼の音楽を聴いて(または選曲から)思うのは、彼の心の中には彼の水準の理想があり、そして現実世界は彼が思う美しい理想とは違っていた、というがあるのではないかなーと想像しています。
あくまで想像ですが。

ケーゲルが生きた時代、文化背景にどのくらい同調圧力的なもの(ベートーヴェンはこうあるべき、的なもの)があったのかのは知らないのだけど、彼が彼らしいまま生きた証がここにあるように私は感じるし、それは次の世代に伝えなくてはならない、他に代え難い命を掛ける価値さえあるものだと思う。

私が日本に本帰国する際に持って帰るベートーヴェン交響曲のレコードは、コンヴィチュニーのステレオ盤とケーゲルの全集になると思う。(あとブロムシュテットの第九 @ゼンパー)

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東独エテルナの名盤~Nr.18 ズスケとスイトナーのハイドン/ヴァイオリン協奏曲

ハイドン / ヴァイオリン協奏曲 第1&4番 Hob.VIIa:1&4

カール・ズスケ(ヴァイオリン)
オトマール・スウィトナー指揮
シュターツカペレ・ベルリン(ベルリン国立歌劇場管弦楽団)

【 東独ETERNA 825 560 / STEREO / 黒銀ラベル 】

けっこうな入手困難盤である本作。
まぁ、それでもズスケのLPの中では見つけやすいクラスではありますが・・・

技師はエテルナが誇る名技師クラウス・シュトリューベン氏。
64年とそれなりに古い録音とは思えない、針を落とした瞬間から瑞々しい音が鳴り響きます!
これは高音質なエテルナの中でも、特に良い音で鳴る一枚と言えます

しかしズスケの奏でる音の見事なこと・・・いやはやこれは言葉になりません。
すごく細かいニュアンスまでしっかりとコントロールしているのですね~、恐れ入りました。
バックを務めるSKBの面々もスイトナーと共に、SKBの持つ誇り高い音色でしっかりとサポート。
非常に高水準に保たれたバランスが素晴らしい、オススメの一枚です。

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東独エテルナの名盤~Nr.17 ザンデルリンク/SKドレスデンのブラ4

どうもご無沙汰しております。
よもやまレコード店主でございます。

最近はドイツ語の学習の時間、手伝い業が増えておりまして、なかなかレコードの方に着手が出来ない状況が続いております。
私が始めた当初よりもレコードがなかなか売れずらい時勢なのでしょうか、かけた時間の割には・・・と思ってしまうこともありますが、まぁ、ご愛顧いただける方がいる間は華と思い時間を見つけては発掘・出品は続けていこうと思います。
応援いただけると心が救われます。

さて、本日は久しぶりにエテルナの推薦版のご紹介。
ザンデルリンク&シュターツカペレドレスデンによる72年の録音。
「ブラームスの交響曲 第4番 ホ短調 op.98」です。
"Sandering_Staatskapelle
曲、および演奏の紹介はおそらく私からしなくても皆様よくご存じと思いますが、あえて言わせていただくと
「初めから最後まで一瞬も耳を離せない、重厚な音の波」
「荒波を押しのけ力強く行く、巨大で精巧な箱舟による希望に満ちた航海」
そんな感じでしょうか。
一生モノのレコードになると早くも確信しております。

「レコード盤」としてのご紹介としては、やはりとにかく音が良い!
この頃のザンデルリンの指揮、SKDの音が良いのは疑いようもありませんが、それに加え、音自体が素晴らしい精度で捉えられています。
高音質盤が多いエテルナの中でも屈指の高音質です。
70年代に東独エテルナで作られたロダンのジャケットのシリーズはどれも高音質で知られていますが、その多くがエテルナが誇る名技師クラウス・シュトリューベン氏による録音になります。

彼の録音は音の「ピント」と言うべきでしょうか、解像度が高いので聞くとすぐにわかります。
どこかのインタビューで、当時はマイクの配置やちょっとした向きなど、そういう細かな所を徹底的に突き詰めて録音していたと書いてあったのを記憶してますので、そういう所に違いが現れた結果なのでしょう。職人技です。

有名なEURODISCでの全集と同じ録音ですね。
世間では「EURO原盤」みたくなっておりますが、元々はVEB(=エテルナ)の録音で、東ドイツが無くなった後にEUROにマスターを買われたという認識で間違っていないと私は思っている
のですが・・間違っていたらご指摘ください。

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東独エテルナの名盤~Nr.16 スイトナーの「フィガロの結婚」

スイトナーの「フィガロの結婚」
スイトナー_フィガロの結婚

・モーツァルト:歌劇『フィガロの結婚』全曲(歌唱:ドイツ語)
 ヴァルター・ベリー(バリトン:フィガロ)
 アンネリーゼ・ローテンベルガー(ソプラノ:スザンナ)
 ヘルマン・プライ(バリトン:アルマヴィーヴァ伯爵)
 ヒルデ・ギューデン(ソプラノ:伯爵夫人)
 エディト・マティス(ソプラノ:ケルビーノ)
 アンネリース・ブルマイスター(メゾ・ソプラノ:マルチェリーナ)
 フランツ・オーレンドルフ(バス:バルトロ)
 ペーター・シュライアー(テノール:ドン・バジリオ)
 ジークフリート・フォーゲル(バス:アントニオ)、他
 ヴァルター・オルベルツ(チェンバロ)

 ドレスデン国立歌劇場合唱団
 シュターツカペレ・ドレスデン
 オトマール・スイトナー(指揮)

・64年録音、名技師クラウス・シュトリューベンによる

モーツァルトの名オペラ「フィガロの結婚」。
スイトナーによる明快で快活な指揮と、月並みですが「絹のような」とことん柔らかいSKDの音も絶品。耳からサラサラと入り込み、スーッと体の中を綺麗にしてくれるような、それほどまでに美しい音の流れのイメージがあります。
歌唱陣も当時の超一流揃いで個人的にはやはりローテンベルガーの声がたまらない。

イタリア語ではないところが耳に栓をしてしまっているのなら、それはもったいない!
名手スイトナーと名門ドレスデンの、伝統ある音楽の魂を継承した音達ですので、是非ご一聴していただきたい逸品です。

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東独エテルナの名盤~Nr.15 ヘルベルト・ブロムシュテット/SKD 第9@ゼンパーオパー落成記念ライブ 85年

【 ETERNA 827 920-921】
よもやまレコード名盤15_ブロムシュテット_シュターツカペレ・ドレスデン_ベートーヴェン_第9_ゼンパーオパー_再建記念ライブ
ベートーヴェン 交響曲 第9番 op.125 「合唱」

ヘルベルト・ブロムシュテット指揮
シュターツカペレ・ドレスデン
ドレスデン国立歌劇場合唱団
エディス・ウィーンズ(ソプラノ)
ウテ・ヴァルター(アルト)
ライナー・ゴルドベルク(テノール)
カール・ハインツ・シュトリチェク (バス)
1985年3月30、31日 録音

音楽監督:ベルンド・ルンゲ
音監督:クラウス・シュトリューベン

これはすごい音楽だ。

ドレスデンは第二次世界大戦時、英・米軍により徹底的に破壊された。
その後40年という長い年月を経て、1985年にようやくゼンパーオパー(ドレスデン州立歌劇場)が再建される。この録音は、その時の再建記念ライブでの録音であるので、実に意義深い公演であると共に、人はこんなにも思いを込められるのか!と魂を揺さぶられる一枚。

ブロムシュテットはもとより楽団員一人一人、実に気合の入ったとても緊張感のある演奏で、第一音目から惹き込まれて耳が離せません。ブロムの指揮は、内に秘めた気合を発揮しつつも決して自分の音楽から外れることはないが、兎に角ほとばしる情熱がすさまじい!

ティンパニは力強く、金管は高らかに鳴り、そして最後の合唱!必聴!これが実に心揺さぶられる熱唱!
第一楽章から第四楽章終わりまで、その緊張が途切れることのない、名実ともに最高峰の演奏で、音楽監督にベルンド・ルンゲ氏、録音はクラウス・シュトリューベン氏で録音の仕上がりも素晴らしい。
最高の環境で最高の演奏を閉じ込めた、まさに日の打ち所のない仕上がり。

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東独エテルナの名盤~Nr.14 レーゼルとザンデルリンクのラフマニノフ ピアノ協奏曲 第3番

東独エテルナ 826 599
2 (73)
ペーター・レーゼル (ピアノ)
クルト・ザンデルリンク指揮
ベルリン交響楽団
78年録音

東ドイツを代表する名ピアニスト ・レーゼルと、彼の実力を見出し世界へ導いた往年の巨匠ザンデルリンクによる当盤ラフマニノフのピアノ協奏曲 第3番。
二人とも出だしから冷静で端正だが内側に情熱を焦がす。
レーゼルのまっすぐな姿勢から振り下ろされているであろう強靭な打鍵、音の煌めき、魅力は多くあるが、それに加え彼は曲の解釈が実に的確で、知的。
物静かな感性で抑えるべきは抑え、放つところで見事に開放する。 感情を開放することに微塵の迷いもない、と言うネガティブさを含んだ表現が果たして適当であるかもわからない程に、迷いがないのである。
当店ではレーゼルを前々からご紹介させていただいているが、何度聞いても優れたピアニストであると確信させられるばかり。
初めて聞くような曲でもあっさりと、しかし実に力強く納得させてくれるのである。

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東独エテルナの名盤~Nr.13 アンネローゼ・シュミット/クルト・マズア=ドレスデンフィルのグリーグ/ピアノ協奏曲 ウェーバー/ピアノと管弦楽のための小協奏曲

【 東独エテルナ 825 689 】2 (80)
グリーグ / ピアノ協奏曲 op.16
ウェーバー / ピアノと管弦楽のための小協奏曲 op.79

アンネローゼ・シュミット(ピアノ)
クルト・マズア指揮
ドレスデンフィルハーモニー管弦楽団

70年?ルカ教会にて
クラウス・シュトリューベン氏による録音

録音良好。 30代半ばで精神・体力共に充実した頃の演奏。
 彼女の音は硬質だがクリスタルをイメージさせる堅苦しくないもので良い。
全体を通して迷いなく貫き通す芯の強さで聞くものを惹き込んで行く。

先日、クラシックではないですが日本人のアーティストのヨーロッパツアーに行き、最初はそのテクニックと音のクオリティに驚いたのですが、曲想や演奏法に自尊心や虚飾心が見え隠れし、途中から醒めてしまった。
東京は見渡せばあらゆる物が輝いているのだろう。
彼らの音楽はそんな音楽に聞こえた。

ドイツ人はもっと本質を大切にする。
こと音楽に関しては特に、虚像、虚飾、媚、見得などを嫌う。
さて、彼女の演奏を聞いていると、やはり媚・虚実などは出来る限り排し、音楽の本質を追及してきたのであろうと感じさせる。純度が高い。
こちらグリーグが残した唯一の抒情的なピアノ協奏曲でも虚実なき「真」に迫っており、さらに持ち前の芯の強さでぐいぐいと惹き込んでくれるので聞いた後の納得感・満足感もとても高い。
ドイツの女性は本当に逞しい。
マズアは理解のある良き夫のようで徹底的にサポートに回っているように感じられるが、しかしながら持ち前のバランス感覚による下支えで見事な音楽に仕立て上げている。

因みにシュミット&マズア/ドレスデンPと言えばモーツァルトのピアノ協奏曲も同じ時期に録られた素晴らしい録音。こちらを紹介するのはあまりにまっとうすぎるかなと思いグリーグ/ウェーバーの方を採用。
音の綺麗さで言えばモーツァルトのPC全集のほうが上かもしれません。

Schumidt_Masur_Dresdenphil_Mozart_KlavierKonzert1 Schumidt_Masur_Dresdenphil_Mozart_KlavierKonzert2
同じ演者のモーツァルトピアノ協奏曲「5&6番」と「18&19番」

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東独エテルナの名盤~Nr.12 オトマール・スウィトナー/シュターツカペレ・ベルリン ベートーヴェン 交響曲 第9番

suitner_SKB_Beetho_Sym_Nr.9 (3)ベートーヴェン / 交響曲 第9番 「合唱付き」

オトマール・スイトナー指揮
シュターツカペレ・ベルリン

 マグダレーナ・ハヨーショヴァー(S)
 ウタ・プリエフ(A)
 エーベルハルト・ビュヒナー(T)
 マンフレート・シェンク(B)
 ベルリン放送合唱団

82年ベルリン、キリスト教会にて録音
日本コロムビアとの共同制作

【 東独エテルナ 827 788-789 】

スウィトナーとSKBが残した、東ドイツの魂が残るベートーヴェン交響曲。
SKBの音色はやはり東ドイツの他のどのオケとも異なり、独自の土臭さ・憂いを含んでいて、一筋縄ではないが危うくも美しい音色がクセになる。
さらにこちらの「第9」では「憂いを知るが故の慈愛」のようなものを感じさせ、「至高の音」のレベルにまで昇華されているように感じられる。
合唱の出来も素晴らしく、最初から最後まで非常に心地よい気分を味合わせてくれる。
東ドイツの伝統の音を威風堂々と行く中庸なる姿勢が素晴らしいが、それ以上をも感じさせる内容となっている。

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東独エテルナの名盤~Nr.11 ヘルベルト・ブロムシュテット ベートーヴェン/交響曲 第5番 「運命」

【 LP 東独エテルナ 】
herbert_blomstedt_Beethoven_Symphony_No5_fate
ベートーヴェン / 交響曲 第5番 「運命」

ヘルベルト・ブロムシュテット指揮
シュターツカペレ・ドレスデン

【 東独Eterna 827148 / STEREO 】

1977年録音。C・シュトリューベン氏の録音。

皆さま、明けましておめでとうございます。
2017年もどうぞよろしくお願い致します。
さて、昨年末に日本で行われた公演が当店のお客様の間でも話題だったブロムシュテットの、実に40年前の「運命」を久しぶりに入手いたしました!
(因み40年前はよもやま店主はまだ生まれておりませんが・・・)
御年89歳(!)での運命の演奏が33分台(!)だったと聞きましたので、よほどの快演!
いや~、ブロム、さすが北欧の人は信じられない体力を見せてくれます。
2017年も来日を予定していると聞きましたので、今から楽しみですね。
因みにレコードの方はおおよそ37分ですので、89歳の今現在の方が4分も早い!

さて、よもやま店主はベートーヴェンはコンヴィチュニー/LGOで育ちましたので、ブロムシュテット/SKDのベートーヴェンは、お、やっぱりけっこう雰囲気が違う。
剛と柔と言いますか。SKDの放つ音がとにかく柔らかくて、ほんわりと音に包まれているかのような印象です。第2楽章なんて特にとろけてしまいそうですし、第3楽章~は凛として威風堂々なイメージですが、同時に気品がどこからか気高く薫り立ち上ります。
管も弦も、上品で滑らかで艶やかな音です。 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の厳格で伝統的でどこか哀愁を帯びたような鈍い感じの音も大好きですが、LGOもSKDも、どちらも同じく旧東ドイツを代表するオーケストラではありますが、音の印象は全く逆のベクトルと言っていい程に違っているのが面白いですね。

ブロムシュテットの指揮はと言うと、バレエダンサーが体重を感じさせずに軽く高く飛ぶように、膝を最大限に使って軽やかに着地するかのように、ふわりと柔軟な雰囲気で、同時にやはり気高く 、繊細で、丁寧。

ブロムシュテットのシュターツカペレドレスデンでの首席指揮者の任期は75~85年の10年間ですので、当録音は就任後3年目ほどでの録音ですが、SKDの柔らかで上品な音を十分に引きだしているように感じられ、バツグンの相性の良さを見せる演奏でした。

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東独エテルナの名盤~Nr.10 エドワード・エルガー / ヴァイオリン協奏曲 ロ短調 op.61

【 LP 東独エテルナ 】

エドワード・エルガー / ヴァイオリン協奏曲 ロ短調 op.61

イーゴリ・オイストラフ(ヴァイオリン)

モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団
ヴァレンティン・シュク / Valentin Shuk(Zhuk)指揮

【 東独Eterna 725 174 / STEREO DMM / 88年 / オレンジ色ラベル 】

84年メロディア録音です。
指揮者のValentin Shuk(ヴァレンティン・シュク)は、ボリショイ歌劇場管弦楽団のコンサートマスターだった父・アイザック・シュクの元に生まれ、6歳からヴァイオリンを弾き始める。
ボリショイ四重奏団の第1ヴァイオリンとしてすぐに有名になったようです。
チャイコフスキー国際コンクールをはじめ、様々なコンクールに入賞。
ソリスト、指揮者、または室内楽団を率いたりと多彩な活動を続けていたようです。
モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターを長く務め、コンドラシン、ロストロポーヴィチ、スヴェトリャーノフらにソリストに起用されることも少なくなかったようです。
加えて、オイストラフやロストロポーヴィチもゲストで指揮をしたという室内楽団”モスクワフィルのソリスト達”の音楽監督を務めていたようです。
現在はオランダにて教鞭を取るほか、Dutch Radio Symphony Orchestraのコンサートマスターを務める。

息子のエフゲニーはシュトゥットガルト歌劇場のコンサートマスター、二男のアレクサンダーはフロリダ・ニューワールド交響楽団のコンサートマスターとして活躍中。
(ストラディヴァリウス国際ヴァイオリンコンペティションのホームページより訳)

そもそもエルガーのヴァイオリン協奏曲なんて珍しいですし、それがソビエトの指揮者による演奏となれば情報が出ないのは当然ですね。
一応探した情報を上に記しておきましたので、ご興味がある方は読んでみて下さい。

演奏はと言うと、非常に美しいです!
曲自体のおだやかで少しアンニュイな寂しさのようなその可憐なニュアンス・美しさを、成長したイーゴリが見事に表現しきっていて非常に素晴らしい!
のびのびと弾いている点が特に聞いていて気持ちの良いものでした!
シュク=モスクワフィルの音色は、でしゃばらない演奏にとどめているまでも、その音、その姿勢は威風堂々としており、過剰に着飾ることはないけどどこか絢爛で魅惑的な印象が「カッコいい」と感じました。

オススメです。

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東独エテルナの名盤~Nr.9 アーベントロート/RSoL ブラームス/交響曲 第4番

【 LP ETERNA 820 006 】
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ブラームス / 交響曲 第4番 op.98

ヘルマン・アーベントロート指揮
ライプツィヒ放送交響楽団

【 東独エテルナ / Mono / 57年 / 初期ラベル/フラット盤 】

エテルナの最初期の006番です。
この盤で初めてエテルナの最初期ジャケットを目にしましたが、中々渋くていい感じのジャケットですね。

私が思いまするに、クラシックやJazzなんかの音楽っていうのは「耳で聞いて脳で理解する」と言うものと言うよりは、「経験するもの」だと思うのですよね。

どのような音の組み合わせが
どのようなタイミングで
どんな美しい音色で飛び出てくるのか

次から次へと新しい音が、自分の想像を超える素晴らしい音色で飛び込んでくるから脳みそが感動してしまう。もうそれはどれだけ人気があるからとか、Voがイケメンだとかそういう些末な話ではなく、素晴らしい物ってのはもう抗うことが出来ずにどうしても感動してしまう。魂が認めてしまうんですよね。
そういうものが真の音楽だと思ってます。

さて当盤は東ドイツの大巨匠、ヘルマン・アーベントロートによる指揮。

まず驚かされるのは非常に鮮明な録音!
録音も50年前半くらいとかだと思うのですが、まぁ不思議と素晴らしい音でなります。
ちゃんとしたモノラルの再生環境もないですが、それで十二分に優しく柔らかな音が次から次へと耳に届きます。

私はこの盤の素晴らしい音楽的経験を通し、一気にアーベントロートの事が好きになり、ブラームスの事が好きになり、ブラ4の事が好きになった。

こういう経験の出来る「音楽」とどれだ出会うことが出来るのか、それがどれだけ人生を豊かにするかにも十二分につながって行きますね。

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東独エテルナの名盤~Nr.8 ズスケ&マズア/LGO ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲 op.61

【 LP ETERNA 729215 】
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ベートーヴェン / ヴァイオリン協奏曲 op.61

カール・ズスケ(ヴァイオリン)

クルト・マズア指揮
ライプツィヒゲヴァントハウス管弦楽団

【 東独エテルナ / STEREO DMM / 89年 / オレンジ色ラベル 】

87年、残響音の豊かなライプツィヒ新ゲヴァントハウスにて録音です。

あくまで「音楽」そのものを大切にする、ドイツ的な音楽センスの集大成のように感じられます。
とにかく奏でられる一つ一つの音が美しい。その基本中の基本を最も大切にした、わかる人にはわかる素晴らしい演奏だと思います。

通常の同曲と比べ幾分ゆったりとしたテンポ設定になっていますが、音楽を聴けばこれが見事な一体感で、単純にスピードが遅いのではなくゆったりとした気持ちの大きさなのだと気づかされます。
誰の采配かはわかりませんが、センスが光ります。

東独エテルナが消滅してしまう年の発売で、プレス枚数が少なくいです。
希少なズスケの録音の中でも、特に見つかりにくい一枚です。

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エテルナ名盤~Nr.7 エルフルン・ガブリエル ショパン/ピアノ曲集

東独エテルナ 725 128
_エルフルン・ガブリエルショパン
ショパン / ピアノ曲集

ノクターン op.9-1 / op.62-1
マズルカ op.6-2 / op.50-3
ポロネーゼ op.53
ワルツ op64-1/2 / op.18 / op.42
バラード op.52

エルフルン・ガブリエル(ピアノ)

【 STEREO / デジタル録音 】

さて今回は趣向を変えて、ヨーロッパでは有名でも日本ではあまり有名でない音楽家の中の一人、エルフルン・ガブリエルによるショパン曲集をピックアップしてみます。

1986年ドレスデン・ルカ教会での録音。
エテルナの名技師Horst Kunze氏による録音で、録音場所もいつものルカ教会なのですが、何かがいつもと違う雰囲気です・・・

と言うのも、彼女のピアノの音色は、音の一つ一つがその音の奥に入り込んでいくかのような、音の海の底に沈んでいくような・・・どうにも例えづらいのですが、まるで子供の頃に見た夕日を思い出すかのような。
そのかわいらしい容姿とは結びつきにくいのですが、セピア色をした、どこかほの暗い、非常にユニークな響きを聞かせてくれます。
そしてそれで曲が成立していると思わせるからまた面白いものです。
なかなか癖になりそうなピアニストです。

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東独エテルナの名盤~Nr.7 スウィトナー/SKD ビゼー/ウェーバーの交響曲

東独エテルナ 826 342
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ビゼー / 交響曲 ハ長調
ウェーバー / 交響曲 第1番 ハ長調 op.19

オトマール・スイトナー指揮
シュターツカペレ・ドレスデン

72年・ドレスデン・ルカ教会にて録音。
録音は良い部類です。
珍しいビゼーとウェーバーの交響曲を指揮するのは
もはや伝説の指揮者のオトマール・スウィトナー。
SKDの弦楽セクションによる弦楽は、まるで音が内側から優しく光り輝くよう。
管楽は滑らかにうねりながら、音の通り道にはっきりとした色を描き残して行きます。
これを聴かないのはもったいない!と思うくらいの美しい演奏。

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