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よもやまレコード

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東独エテルナについて①

【 エテルナについて 】
旧東ドイツの国営レーベルであった”Eterna(エテルナ)"

社会主義国家下の圧政やナチスの台頭など、様々な困難を抱えていた旧東ドイツでしたが、音楽のレベルは世界最高峰の水準を誇っていました。
当時の指揮者・オーケストラのレベルの高さもさることながら、”エテルナ”が作り出したレコード盤のクオリティは、他のレーベルのものと比較しても引けを取らないどころかむしろ高いレベルにあったことがその音からわかります。
戦後の東ドイツで輝かしいキャリアを築いた名ピアニスト、ペーター・レーゼル氏曰く「(エテルナは)国営だったからレコード盤の売れ行きなどはあまり気にせず、良い物を作ることに専念だけすればよかった」とのこと。

当時のエテルナについては詳しくはわかりませんが、おそらく「貧乏」だったと言うのは想像に難しくありません。
グラモフォンやデッカのサウンドを聞くと、確かに重厚で迫力のある音ですが、それが人為的に作られた音だと言うことに気が付きます。
一方エテルナの音は、現場のマイクからそのままレコードにしたような、ある意味「そのまんま」の音です。設備の違いだと思われます。
しかしながら、マイクの配置などや細かなアナログな録音技術が職人技にまで昇華されており、その結果として今現代になお愛される「クラシックが最高に輝いていた当時の現場のままの音」を現代に残すことになります。
エテルナの残した、あくまで音楽に寄り添ったピュアな音作りは耳に心に心地よく、レコードが忘れられ、古き良きクラシック音楽が忘れられようとしている今、評価している愛好家の方が増えているのも納得できるものとなっています。

【 エテルナの録音 】
エテルナの名録音技師、クラウス・シュトリューベン氏や、ホルスト・クンツェ氏の功績は大きいです。特にクラウス・シュトリューベン氏の録音は「マイスター(=職人)」と呼ぶに相応しい仕事で、ぴったりとピントが合い明瞭で快活。
楽器がそこにあるかのような生々しい音も、ホールの響きの周波数も全て余すところなく収録してあります。彼のお蔭でクライバーとSKDの名演やスウィトナーのモーツァルトなど、数々の名録音が今も私たちを楽しませてくれます。

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アンネローゼ・シュミット & クルト・マズア/ドレスデンフィルによるモーツァルトのピアノ協奏曲集はクラウス・シュトリューベン氏とホルスト・クンツェ氏の強力タッグにより美しく収録されました。さらにはルカ教会での録音ですので、まさに最高の環境。


【 共通ジャケットについて 】
レーベル黎明期によくありがちな、共通ジャケット。
ジャケットの柄は同じだけど、活字部分(要は曲目と指揮者・演奏者)は違っていて中身も勿論違うので、ジャケットだけではどのレコードか判断ができない。
今の常識では考えにくいけど何もかもが今とは違っていた50年代ではコストを削減するための策だった。
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左からそれぞれブラームス、モーツァルト、ベートーヴェン用の共通ジャケット。
総じて古い盤であると言える。
因みに一番右のフルトヴェングラー/BPOの「運命」は筆者が手に入れた中で一番重たいディスクで、音楽もへヴィー級だがディスクも然り、210gくらいあったと記憶している。


【 メロディアとエテルナ 】
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ギレリス&クリーブランド管=セルのベートーヴェン協奏曲 4番 / リヒテル&ムラヴィンスキーのチャイコフスキー ピアノ協奏曲

さすがにソヴィエトのメロディアとは親しい間柄だったようで、両方のロゴの入ったダブルネームのものも多く販売された。
(逆にメロディアがエテルナの録音を出したかは不明ですが・・。)
70年代に入ってから作られた、ミケランジェロの絵のジャケットのもの(=ベートーヴェン)、灰色地のジャケットのもの(=チャイコフスキー)はエテルナのプレスと思われるが、それ以外のものはソ連のMezhdunarodnaya Knigaプレス工場(所謂MK)で作られたものも多いと思われます。
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なんたってそのまんまメロディアのディスクが入っているもの(↑このような)もあるし、エテルナとのダブルネームのラベルであっても、持った時の感触がちょっと違う。

【 版権盤 】
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【左】がDGGのオリジナル、【右】東独エテルナ盤
DGGから版権を買ったものはデザインも踏襲。
紙質とプリントクオリティはさすがにDGGには負けます。
ベルリンフィルのシールのコストも出せませんが、音は負けておりません。
結構オススメです。


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83年から始まったエテルナのデジタル録音化。
カタログナンバーはいままでの”8XX~”から”72X~”(最後の最後に”73X~”もあるが)に代わり、ラベルの色もオレンジ/コーヒー色に。
やはり音からはアナログ臭さ/現場っぽさが薄くなりクリーンで聴きやすい感じになるが、下手なイコライジングはされていないので素直に聞きやすい。デジタル録音を嫌う人も多いが、個人的には全然オススメ。

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