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よもやまレコード

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東独エテルナの名盤~Nr.6 スウィトナー/SKD Volkmann/チャイコ 弦楽セレナーデ

東独エテルナ 825 961
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ローベルト・フォルクマン / 弦楽セレナーデ 第2番 op.63
チャイコフスキー / 弦楽セレナード ハ長調 op.48

オトマール・スイトナー指揮
シュターツカペレ・ドレスデン


録音年代不明ですが、スウィトナーの他の録音と同様、70年代前半、ドレスデン・ルカ教会と思われます。
録音は名技師クラウス・シュトリューベン(Claus Struben)氏で、非常に高音質。
エテルナのトーンエンジニアではホルスト・クンツェ(Horst Kunze)氏もなかなか良い録音をしますが、シュトリューベン氏の録音はピントがバツグンにはっきりとしています!
非常に良い耳をお持ちだったようで、実に素晴らしい音なんですよね。
ルカ教会&シュトリューベン氏の録音にはハズレなし!と言う印象すら受けます。

そして肝心の演奏ですが、美しい!美しすぎます!

シュターツカペレ・ドレスデンの弦楽セクションの奏でる音色のあまりの美しさ、一糸乱れぬ音と音の交差を前に、私は考えることを放棄、ただただ耳と心で流れる音楽を聴くことに集中するしかできませんでした。
露骨なTVCMに使用されてしまって俗曲に落とされてしまった感はありますが、本物の演奏の力の前では些末な問題です。

スウィトナーと言えばやはりモーツァルトの録音が有名ですが、音の美しさではこちらに分があると思います。

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東独エテルナの名盤~Nr.5 コンヴィチュニー&LGO ベートーヴェン/交響曲 第7番

ETERNA 827 417
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ベートーヴェン 交響曲 第7番
フランツ・コンヴィチュニー指揮
ライプツィヒゲヴァントハウス管弦楽団
1959年6月録音

コンヴィチュニーがエテルナに残したベートーヴェン全集は全て名演奏・名録音ですが、こちら第7番は特に素晴らしい出来だと思っています。コンヴィチュニーが夏生まれだったからでしょうか。

上昇音の特徴的な素晴らしい冒頭は、7番の大きな魅力の一つですね。
当演奏の冒頭は個人的には理想的な形で、写真や映画を見ているように映像が次々と浮かびます。夏の青い空は広くどこまでも青くて、ずんずんと立ち上る入道雲は大きく、真っ白。
そこへ空を切り裂くように飛ぶ1羽の鳥。フルートの音色のふくよかさに心が洗われます。

彼の演奏には大きな懐に包まれるような安心感があります。
第1・第2楽章のテンポ自体はいつも通り堂々としたゆったり目のテンポで、コンヴィチュニーとLGO団員たちとの結束感が伝わってくるようです。実に迷いのない力強さが、聴くものを安心させてどこまでも心地よく運んでくれます。
どこまでもどこまでも、ドイツの空のように大きく、ドイツの森のように深く、(ドイツには海はほとんどありませんが)海のように広い、そんな自然に通じる安心感がありますね。
きっとコンヴィチュニーも壮大な自然をこよなく愛していたんだな、と、そう感じさせるおおらかさです。(あとアルコール)

私はクラシック論に詳しくありません。音楽が好きで聞いているだけなので、コンヴィチュニーがいかに正統的なドイツ音楽の継承者なのかは私にはよくわかりませんが、彼が音の細かい表情の扱い方に非常に優れていると言うことはわかります。
音を入れるタイミング、強弱の付け方、音のレイヤーの重ね方・・などなど、前の3番エロイカの時にも書きましたが、ほんと、彼の音の扱い方は最近のドイツのテクノに通じるものがありますし、若いDJ達には是非コンヴィチュニーを見習ってもらいたいです。

加えて私は咀嚼するのが非常に遅いタイプで、第7番の「第3楽章」と「第4楽章」をどう解釈して、どう味わえばいいのかがまだよくわかっておりません。今回は基本的に解りやすい第一楽章、第二楽章を重点的に聞いての評価とさせていただいている点を追記させていただきます。

レコードの話をすると、エテルナのコンヴィチュニーはおそらくmono盤が発売された後にステレオが発売になったと思います。コンヴィチュニーは日本ではそれほどポピュラーな指揮者ではなかったと伺っておりますが、こちらドイツでは大定番の一人だったようです。それほど見つかりづらい盤ではありませんが、状態の良い物を厳選するとコンプリートするには時間がかかりますね。中でも7番は一番見つけにくい一枚です。
V字ラベルのmono盤は状態の良い物がほとんど見つかりませんので、mono盤・初期盤にこだわりがないのであれば、ジャケットのレーベル字の下に番号が記載されている初期ロットのステレオ盤がオススメです。艶やかな良い音色で、コンヴィチュニーとLGOの一つのクラシック音楽の粋を存分にお楽しみいただけます。


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東独エテルナの名盤~Nr.4 ノイマン/LGOのスメタナ連作交響詩”わが祖国”

Eterna 825 931-932
ノイマン/LGOのスメタナ/わが祖国
ヴァーツラフ・ノイマン指揮
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
66年録音 68年黒銀ラベルあり(写真は73年発の再販の青盤)
チェコと東ドイツの東欧コンビによる演奏。

音楽は経験。
冒頭、針を落とした第一音目から非常に素晴らしい音を聞かせてくれる、ノイマン/ライプツィヒゲヴァントハウス管弦楽団の素晴らしい演奏です。思いがたっぷりと詰まった、素晴らしい演奏に感じられました。

 私が当演奏で注目したいのは、ノイマンとLGOが作る演奏の中に柔らかさ、やさしさがあるところです。東欧の人の心には人を許す、自然をそのまま受け入れる深い深い”愛”があると感じています。ベルリンに来てからアメリカ、オーストラリア、スペイン、イタリア、ポーランド、セルビア、トルコ他・・・多数の国の人たちと言葉やお酒を酌み交わしましたが、東欧の人たちの優しさは特に深く、心振るわされるものでした。
ノイマンの演奏があまりに優しいから、私はこの演奏を聴くとその優しさを思い出します。きっと彼/彼女の祖国の景色は、このような優しい色をしているのだろうなと、そう思わせてくれるのです。

東欧と日本とでは景色があまりに違いすぎますし、そもそも愛情を見つけるのは困難なものなのですが、”愛”は確実にそこにはあるのです。

大切なことに気づかせてくれたこの演奏は、私の心の1ピース。

同じ録音のテレフンケン盤も聞きましたが、断然エテルナ盤の音の方が良い(青盤でも)です。

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東独エテルナの名盤~Nr.3 コンヴィチュニー&LGO ベートーヴェン/交響曲 第3番 エロイカ

_コンヴィチュニー LGO 英雄
Eterna 825 412
ベートーヴェン 交響曲 第3番 エロイカ
フランツ・コンヴィチュニー指揮
ライプツィヒゲヴァントハウス管弦楽団
1960年3月録音

錆びたような金管の音色、ズンズンと胸にくる、時折ひずんだようにも聞こえる太い弦楽器の音。喜びに満ちた横笛はまるでクロウタドリが歌うよう。金管は鈍色、弦楽器は金色。フルート/ピッコロは薄いピンクか透明だろうか。
美しさと、”若干の歪さ”のようなものが混ざり合ったような音で、とても度量の大きな音作り。奇妙な魔法か、はたまたアルコールなのか、コンヴィチュニーとLGOが作り出す音はとてもユニーク、そして勿論非常に魅力的な音に仕上がっています。

細かいなんたらと言う技術がどう、とか、第何小節のこれがこうだから~と言う専門的な話はわかりませんので他の方に任せるとして、しかしコンヴィチュニーは本当に音の使い方がうまいと思う。こう、魂に響く「音」の妙を知っているような・・・
ベートーヴェン自身も「音と音の駆け引き」がすごく上手だと思うのですが、コンヴィチュニーもわかってるな~!と感じます。音を入れるタイミングや音が交差する際の具合とか・・・完璧な塩梅だと思うのですよね。コンヴィチュニーが現代に生きていて、ドイツでテクノのDJなんぞやってたらさぞかしすごかっただろうなと思う。

テンポは基本的にはゆったり目ですが、音の質量が相当ありますのでスケール感があります。
音もアナログの一番良い時代だったのでしょう、非常に高音質。
レーベルの下に番号が振ってある古いロットは盤自体も160g~の重量のある厚い盤で、手に持った際にも満足感があります。

さて、そんな当演奏、YouTubeでは高音質な演奏は見つけられず、当演奏の本当の魅力を味わうにはやはり原版を手に入れていただくしかない・・・
と書きたかったのですが、こちらの音源は非常に音のバランスが良く大変聞きごたえがあります。
こんなことを書くとまたレコードが売れなくなってしまうのだけど、まずは手ごろなところで当演奏の素晴らしさを再確認していただいて、お気に召された方は実際の円盤の購入をご検討されてみてはいかがでしょうか。

当店よもやまレコードは、本場ドイツはベルリンから現地の外盤レコードを、ホカホカ温かい状態のまま直送しております。
憧れの音楽の聖地・ドイツのアナログを極めた職人達が作った魂の一枚をどうぞお楽しみいただければと思います。


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東独エテルナの名盤~Nr.2 ズスケらによるシューベルト/ピアノ五重奏曲「ます」

ETERNA 825 873
22 (24)
シューベルト / ピアノ五重奏曲 "ます" Op.114

ウォルター・オルベルツ(ピアノ)
カール・ズスケ(ヴァイオリン)
カール=ハインツ・デームス(ヴィオラ)他

70年録音。
第一回のロマンスの紹介から、続けてズスケ参加の録音です。

気高く気品に満ち、暖かに生きる命の鮮やかさ。

シューベルトのピアノ五重奏曲「ます」は、愛すべき美しい自然、柔らかな木漏れ日、暖かい空気は胸にあふれ、はつらつとした希望が湧いてくる、そんなヨーロッパの春を描いたような名曲です。

ドイツ人は本当に自然をこよなく愛する人たちで、時間と心に余裕を作っては外で光を浴びて過ごしています。
彼らは自然の、自然のままの姿を愛しています。
子供の頃から自然の多い環境で育ち、ドイツの子供たちは自然の美しさを知ります。
そんな自然を良く知るドイツの手練れたちは、美しい自然を描いた名曲を、さも鮮やかに彩るのです。

ちなみに・・・このレコードは結構売れたようで、古道具屋やなんかでも「見かけなくはない」、まぁまぁ手に入りやすい一枚だとは思います。
ただ、その美しさにあまり安い値段は付けられないワ、と思っているようで、結構な値段が付けられていることが多いです。

ピアノの音は少しこもった感じに聞こえなくはないですが(少なくとも私の環境ではもうちょっと艶が欲しいです)、弦楽の音はつややかでのびやか。
豊かな音楽をお楽しみいただけます。

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東独エテルナの名盤~Nr.1 ズスケ/ボンガルツのロマンス

みなさんこんにちは。
ベルリンからクラシックレコードを販売しています、「よもやまレコード」です。
今日は、東ドイツが誇る名門クラシックレーベル・エテルナの名盤を紹介していこうと思います。

記念すべき第一回としては、ドイツらしい穏やかな日常・気持ちを大切にする気持ちを尊重し、こちらにしようと思います。

「ズスケ/ボンガルツのロマンス」

Eterna 826121

ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
ロマンス 第1番 op.40
ロマンス 第2番 op.50
ヴァイオリン協奏曲集 Op. 61, WoO 5
ピアノと管弦楽のためのロンド WoO 6

カール・ズスケ(ヴァイオリン)
ペーター・レーゼル(ピアノ)

ハインツ・ボンガルツ指揮
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

70年4月録音。


とても暖かく、柔らかく、上品なズスケのヴァイオリン。
一音一音、とても丁寧に、こんなに心の込められた音楽があるのかと気づかされた感動の名演。
ズスケのヴァイオリンには虚勢や見栄などは一切なく、あるのは心から純粋に音を愛し、音楽を愛し、その音楽の内にある静かなる魂を冷静に見つめ、本質を奏でたい。そんなズスケの心が声が聴こえるようだ。

”質実剛健”という言葉はドイツの音楽を表すのにとても的確な表現だと思う。
勿論、全てのドイツの音楽がそういうわけではないし、ズスケは少なくとも”剛”ではないけども。

とかくドイツはない物ばかりだ。
とりわけ私のように昭和の後半に生まれ、平成に育った日本人から見れば、あれもない、これもない。
サービスが悪い、バリエーションがない、便利さがない、親切心がない。
ドイツではそんなことは日常茶飯事。

ハデさや演出の控えめなドイツのクラシックの音も、ある意味ではそんな感じと言える。


当演奏は、短い春の風に吹かれた刹那、心にふと芽生えた春への愛。
そんな儚くも美しい心情を、何の衒いもなしに、ただただその時の心に芽生えた、その小さな初恋にも似た美しさを、真摯に届けたい。

そういうことなのではなだろうか、と私は思う。

そんなある意味”変哲の無い”とも言えるドイツの演奏は、質素で地味、工夫が少なく、聞いていてつまらないと言う人もいるだろうけども、まぁそういう個人的な音楽的な好みの話はひとまず今は置いておくとして、当演奏は、忙し過ぎる毎日に、小さなことへの喜びを忘れてしまう程に余裕をなくした現代人にこそ聞いてほしい、優しさに包まれた平和の1ピースだ。

音質も非常に良好で、お勧めです。

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