ペーター・レーゼル(Peter Rösel)は旧東ドイツ/ドレスデン出身のピアニスト。

ドレスデンの空爆の数日前に生を受けたレーゼルは、母親と共にすぐに街を出て事なきを得た。母はドレスデン音大卒の歌手で、祖父もピアノもかなり弾ける人だったらしく、幼い頃から音楽と供に育ち、レーゼルは文字よりも先に楽譜を読んだという。
63年にロベルト・シューマン国際コンクールで第2位になったことをきっかけに、モスクワ音楽院へ留学することに。
当時のモスクワ音楽院ではオイストラフ、ロストロポーヴィッチ、リヒテル、ギレリス、オボーリン、ショスタコーヴィチなどのレジェンド達が教鞭をとっていたというから驚愕の教育環境。レベルの高すぎる他の生徒達に遅れをとるまいと、毎日必死で練習したそうです。
69年にザンデルリンクがイギリスの演奏ツアーにレーゼルをソリストとして指名したことで彼はその名を轟かせることになり、その後ゲヴァントハウス管で唯一のピアノのソリストとして契約(給料は2000ドイツマルクだったらしい)と、旧東ドイツという特殊な環境に生まれながらも順調に音楽家としてのキャリアを育てていった。
その辺の詳しいことは、自身の生活のことや音楽のことを徒然なるままに書かれているブログ
「気ままな生活」さんに掲載されています。
レーゼル以外にも沢山の音楽を聞かれていて、大変貴重な情報が沢山の面白いブログです。
(「気ままな生活」さん、勝手にリンクを張らせていただいております。問題ありましたらご連絡ください。ひとまず、情報ありがとうございます。)
さて、私はそんなレーゼルのピアノが大好きです。
彼のレコードを聴いたその瞬間、1音目から心惹かれ、瞬く間に彼のファンになりました。並大抵ではない量の練習により培われたであろう抜群のテクニックと安定感、そして音の一つ一つの粒が暗い空間に浮かんでは消えていくような鮮明な音に、一気に心奪われました。
レーゼルは知性派タイプのピアニストだと思う。
曲の隅々まで思考を巡らせ、知的なアプローチで破たんなく、感情的になりすぎず。
根拠がないことを言わない、知的なドイツ人そのものです。