ETERNA 827 417
ベートーヴェン 交響曲 第7番
フランツ・コンヴィチュニー指揮
ライプツィヒゲヴァントハウス管弦楽団
1959年6月録音
コンヴィチュニーがエテルナに残したベートーヴェン全集は全て名演奏・名録音ですが、こちら第7番は特に素晴らしい出来だと思っています。コンヴィチュニーが夏生まれだったからでしょうか。
上昇音の特徴的な素晴らしい冒頭は、7番の大きな魅力の一つですね。
当演奏の冒頭は個人的には理想的な形で、写真や映画を見ているように映像が次々と浮かびます。夏の青い空は広くどこまでも青くて、ずんずんと立ち上る入道雲は大きく、真っ白。
そこへ空を切り裂くように飛ぶ1羽の鳥。フルートの音色のふくよかさに心が洗われます。
彼の演奏には大きな懐に包まれるような安心感があります。
第1・第2楽章のテンポ自体はいつも通り堂々としたゆったり目のテンポで、コンヴィチュニーとLGO団員たちとの結束感が伝わってくるようです。実に迷いのない力強さが、聴くものを安心させてどこまでも心地よく運んでくれます。
どこまでもどこまでも、ドイツの空のように大きく、ドイツの森のように深く、(ドイツには海はほとんどありませんが)海のように広い、そんな自然に通じる安心感がありますね。
きっとコンヴィチュニーも壮大な自然をこよなく愛していたんだな、と、そう感じさせるおおらかさです。(あとアルコール)
私はクラシック論に詳しくありません。音楽が好きで聞いているだけなので、コンヴィチュニーがいかに正統的なドイツ音楽の継承者なのかは私にはよくわかりませんが、彼が音の細かい表情の扱い方に非常に優れていると言うことはわかります。
音を入れるタイミング、強弱の付け方、音のレイヤーの重ね方・・などなど、前の3番エロイカの時にも書きましたが、ほんと、彼の音の扱い方は最近のドイツのテクノに通じるものがありますし、若いDJ達には是非コンヴィチュニーを見習ってもらいたいです。
加えて私は咀嚼するのが非常に遅いタイプで、第7番の「第3楽章」と「第4楽章」をどう解釈して、どう味わえばいいのかがまだよくわかっておりません。今回は基本的に解りやすい第一楽章、第二楽章を重点的に聞いての評価とさせていただいている点を追記させていただきます。
レコードの話をすると、エテルナのコンヴィチュニーはおそらくmono盤が発売された後にステレオが発売になったと思います。コンヴィチュニーは日本ではそれほどポピュラーな指揮者ではなかったと伺っておりますが、こちらドイツでは大定番の一人だったようです。それほど見つかりづらい盤ではありませんが、状態の良い物を厳選するとコンプリートするには時間がかかりますね。中でも7番は一番見つけにくい一枚です。
V字ラベルのmono盤は状態の良い物がほとんど見つかりませんので、mono盤・初期盤にこだわりがないのであれば、ジャケットのレーベル字の下に番号が記載されている初期ロットのステレオ盤がオススメです。艶やかな良い音色で、コンヴィチュニーとLGOの一つのクラシック音楽の粋を存分にお楽しみいただけます。
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